ZeeNuNewが語る『The Next Prince』制作の裏側――1.2億バーツ超、100着超の衣装、スタッフが「博士号」と呼んだ3年間
『The Next Prince』を観ていて、「この作品には、どれほどの時間とお金、そして人の情熱が注がれたのだろう」と感じた人は少なくないだろう。
王宮を彩る美術、ほとんど同じものが登場しない王族衣装、映画のようなアクション、重厚なキャスト陣。
その圧倒的な映像の裏側について、主演のZee Pruk(シー・プルック)とNuNew Chawarin(ヌニュー・チャワリン)が、タイメディア「Workpoint TODAY」のインタビューで詳しく語っている。
そして二人の言葉を読むと、『The Next Prince』の豪華さが単に「制作費の高いドラマ」だから生まれたものではないことが分かる。
そこにあったのは、一つの作品を妥協なく完成させようとした、制作陣すべての執念に近い情熱だった。
制作費は約1億2,000万バーツ超
インタビューでは当初、「9桁近い予算」として質問された制作費について、NuNew自身がより具体的な数字を明かしている。
NuNewによれば、『The Next Prince』に投入された制作費は約1億2,000万バーツ超。
本人も、所属する制作会社がここまで大規模な投資を行えるとは思っていなかったという。
NuNewはこの作品を「非常に大きなプロジェクト」と表現し、約1年間に及んだ撮影を最後までやり遂げたことを誇りに感じていると語った。
『The Next Prince』は、企画開始から完成まで約3年以上。
実際の撮影だけでも、ほぼ1年間にわたった。
それだけの時間を費やしてでも、制作陣が目指した世界観を完成させようとしていたことが分かる。

『The Next Prince』Official / © Mandee Work
スタッフが作品を例えた言葉は「博士号」
このインタビューで特に印象的なのが、Zeeが明かした制作スタッフとの会話だ。
Zeeは音響、ロケーションなどさまざまな部署のスタッフに、
「この仕事を学位に例えるなら、どんな学位?」
と尋ねたという。
返ってきた答えは、
「博士号」だった。
さらに撮影スタッフからは、「こんな作品に携われる機会はなかなかない」という言葉も聞いたという。
Zeeによれば、プロデューサーはこの作品へ文字どおり「持っているものをすべて賭ける」ほどの投資を行った。
そして『The Next Prince』では、ロケーション、衣装、カメラアングルに至るまで、すべてが何段階もの検討を経て作られていたと振り返っている。
この言葉は、完成した映像を観た視聴者が感じた「一切妥協していない」という印象にもつながる。
豪華な場所を借りれば、大作になるわけではない。
衣装、美術、俳優、照明、音響、カメラ、それらが同じ世界を作る方向へ向かなければ、画面からあの密度は生まれない。
『The Next Prince』では、その一つひとつが徹底的に考え抜かれていた。
わずか2分のアクションに12時間
Zeeが特に印象に残っていると語ったのが、序盤のアクションシーンだ。
撮影開始は午後6時。
終了したのは翌朝6時。
完成版で使用された約2分間のシーンを撮影するために、約12時間を費やした。
海外スタッフとも協働し、固定されたカメラの動きに合わせてアクションの角度まで調整。
撮影には、K-POPのミュージックビデオなどでも使用される種類のカメラシステムをシリーズ撮影へ導入したという。
画面では一瞬で過ぎていく場面。
しかし、その数分のために半日を使う。
『The Next Prince』の映像に感じる異常なほどの密度は、こうした積み重ねによって生まれていた。
カニン王子の衣装は100着以上
『The Next Prince』を象徴するもののひとつが衣装だ。
特にNuNew演じるカニン王子は、登場するたびに違う衣装を着ているような印象さえある。
NuNew自身も当初は「30着ちょっとくらい」だと思っていたという。
しかしプロデューサーのP'Aoftionに確認したところ、Pilot版から数えれば、
カニンだけで100着以上になる可能性があると聞かされた。
回によっては1話の中で約10着を着用。
さらに宮殿での衣装だけでなく、私服やパジャマまでほとんど重複していなかったという。
NuNewは衣装について、一着一着のディテールが非常に細かく作られていたと絶賛。
特に印象に残った衣装として、舞踏会で着用した衣装と、カニンのお披露目シーンで使用された長いファーのマントを挙げている。
何百人もの視聴者が、一瞬しか映らないかもしれない衣装。それでも作る。
それこそが、この作品の姿勢を最も分かりやすく象徴しているのかもしれない。
ベテラン俳優たちが集結した異例のキャスト
制作規模の大きさは、美術や衣装だけではない。
『The Next Prince』には、タイの映像界で長年活躍してきたベテラン俳優も数多く出演した。
Zeeは、大ベテランたちがこれほど一堂に集まったことについて、本人たちからも「こんなメンバーが集まるとは思っていなかった」という声があったと明かしている。
NuNewも、先輩俳優たちの演技を現場で観察し、
「どう演じているんだろう」と学んでいたという。
完成した映像を見返した際にも、改めてその演技力の高さを感じたと語っている。
『The Next Prince』が若い人気俳優だけで成立する作品ではなく、世代を超えた俳優陣によって支えられていたことも、この作品の厚みにつながっている。
NuNewがカニンから学んだ「国民の声」
インタビューの中で、作品そのもののテーマに触れた重要な発言もある。
カニン王子は、既存の枠に従うだけではなく、自ら考え、正しいと信じることのために行動する人物だ。
NuNewは、カニンが祖父に立ち向かい、国民を守ろうとする姿について語ったうえで、作品から受け取ったメッセージをこう説明している。
「すべての国は、国民の声に耳を傾けるべきだと思います」
これはNuNew自身が、この脚本から強く受け取ったものだという。
王子と護衛の恋を描くファンタジーBL。
しかし『The Next Prince』が描こうとしていたのは、恋愛だけではない。
権力とは何か。国を動かす人間は、誰のために存在するのか。
伝統に従うことと、自分で正しい道を選ぶことは同じなのか。
架空国家エマリーという舞台を通して、作品は現実社会にもつながる問いを投げかけていた。
Zee「チャランはずっと心の中にいる」
最終話を目前にしたインタビューで、二人は演じてきたキャラクターへの思いも語っている。
NuNewはカニンに、
「本当にありがとう。カニンのことが大好きです」
と伝えたいと話した。
約1年間カニンとして生きたことで、演技だけでなくさまざまな能力や考え方を身につけ、自分自身も大きく成長できたという。
一方、Zeeは「キャラクターを小説へ送り返す」という質問に対し、
「まだ返しません。また戻ってきます。僕の心の中に」と笑った。
そしてチャランから、規律、忍耐、脚本を読み込むこと、役について勉強することなど、多くを学んだと振り返った。
一つの役を一年近く演じ続ける。
それは俳優にとっても、単に撮影へ参加するという以上の経験だったのだろう。
「50年、60年後にも見返せる作品」
クランクアップの日。
現場ではスタッフたちが、
「終わったぞ!」と叫び、長い撮影の終了を喜んだという。
Zeeはその光景を振り返りながら、この作品について印象的な言葉を残している。
自分たちは、これから50年後、60年後になっても見返すことのできる作品を作った。
そのとき、
「あの頃の自分、こんなにカッコよかったんだ」
「NuNewはこんなに綺麗だったんだ」と笑いながら観ることができる。
二人にとって『The Next Prince』は、単なる出演作ではなく、人生そのものに残る作品になった。

『The Next Prince』Official / © Mandee Work
『The Next Prince』は、なぜ特別だったのか
約1億2,000万バーツを超える制作費。
3年以上にわたるプロジェクト。
約1年間の撮影。
100着を超える可能性のあるカニンの衣装。
2分の映像のために12時間を費やしたアクションシーン。
そしてZeeがスタッフから聞いた、「博士号」という言葉。
数字だけ見ても、『The Next Prince』が異例の規模で制作された作品だったことは分かる。
しかし、このインタビューを読んで最も強く感じるのは、その金額ではない。
プロデューサーも、監督も、俳優も、撮影も、音響も、ロケーションも、衣装も。
作品に関わった人たち全員が、「ここまででいい」と止めなかったこと。
それこそが、『The Next Prince』の画面から伝わる圧倒的な熱量の正体なのではないだろうか。
最後にZeeは、この作品について、
タイのSoft Powerのひとつになってほしいという願いも語っている。
『The Next Prince』は、BLというジャンルの可能性だけではなく、タイのドラマ制作そのものがどこまで大きな世界を作れるのかを示した作品になった。
そして何年経っても、作品を愛した人たちがもう一度エマリーへ戻ったとき、その画面の中には、3年以上を捧げたすべての人たちの仕事が残り続ける。
出典:Workpoint TODAY
「“ทุกประเทศควรจะฟังเสียงประชาชน” ซี-นุนิว ย้ำสิ่งที่เรียนรู้ส่งท้าย ‘ข้ามฟ้าเคียงเธอ The Next Prince’」
2025年8月1日公開


